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2020/06/11

【日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会・日本産婦人科感染症学会】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応(第四版)

【概要】
令和 2 年 6 月 11 日
会 員 各 位

公益社団法人日本産科婦人科学会 理 事 長 木村 正
公益社団法人日本産婦人科医会 会 長 木下 勝之
一般社団法人日本産婦人科感染症学会 理 事 長 山田 秀人

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応(第四版)

昨年末に発生した新興感染症である COVID-19 は,全世界に拡散 し,3 月 11 日 WHO はパンデミックを宣言しました.我が国でも 3 月末から 4 月にかけて都市部を中心に感染者の急激な増加が見られ ましたが, 幸いなことに欧米のような感染爆発に至らず, 6 月 10 日現在, 終息に向かいつつあります. 感染者増加に対し,日本国政 府は4月7日に新型コロナウイルス緊急事態宣言を発出しましたが, 5 月 26 日には全面解除に至りました.本疾患の診療には全ての診療 科が関わりますが, 妊婦に対する感染制御と周産期管理は産婦人科 医にとって喫緊の課題です.新型コロナウイルス感染症に対しては, 3 月 5 日,3 月 20 日,4 月 7 日付で日本産科婦人科学会, 日本産婦 人科医会,日本産婦人科感染症学会による合同ガイドラインを策定しました.基本的には内容は関連学会である日本感染症学会,およ び ACOG,CDC ガイドラインに準拠していますが,貴施設における 分娩取り扱い状況や医師,医療スタッフを含む医療資源から弾力的に運用されるようにお願いいたします.

要点

1.6 月 10 日現在,新規感染者は減少し終息に向かっていますが,局地的なク ラスターの発生や感染ルートが不明の感染者が一定数みられるので,今後も 厳重な注意が必要です.

2.わが国では幸いなことに欧州各国のような感染爆発に至りませんでしたが, 緊急事態宣言の解除後,行動の自由化に伴って再び増加する可能性や秋以降に第二波,第三波が到来する可能性がありますので,個人個人の感染予防と重症化予防が重要です.妊婦も高齢者や合併症のある患者さんと同様の扱いになります.

3.感染が疑われる場合には保健所の相談窓口に連絡の上,対応医療機関への受診を指示してください.

4.都道府県ごとに分娩施設やアクセスが異なりますので,地方自治体の担当部署にご確認をお願いします.

5.新型コロナウイルスに感染した方の産科的管理は通常に準じますが,対応医療機関における院内感染対策には十分留意してください. なお,感染拡大に応じ,施設によって原則帝王切開とすることもやむを得ないと考えます.

6.特に医療スタッフの感染防御には十分留意してください.

7.感染者や疑い患者がおられなくても,施設内の清掃消毒,食事の個別提供(ビュッフェ形式は不可) ,面会の制限など感染予防対策をお願いします.

8.妊婦さんご本人と医療スタッフの感染リスクを避けるため,原則的に帰省分娩と分娩付き添いは推奨しませんが,地域ごとの感染状況によって弾力的に 対応してください.

9.担がん患者は新型コロナウイルス感染と重症化リスクが高いとする報告がありますので,必要に応じて治療計画の変更も考慮してください.

10.生殖補助医療につきましては,地域ごとの感染状況に配慮し,徐々に通常診療に復帰していただきたいと考えますが,引き続き標準予防策の徹底など 院内感染防御にご配慮ください.

参照サイト

日本産科婦人科学会

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